私は何も考えない

人生詰んでるオヤジが、どうでもいいこと、いい加減なこと、つまらないこと、くだらないこと…を書き連ねるブログです。

2016年、明けましてガルパン(注:若干ネタバレあり)

2016年、明けましておめでとうございます。

…というわけで、新年早々、「ガールズ&パンツァー劇場版」の極上爆音上映を鑑賞してきた。

場所は立川・シネマシティ、時間は昼の部。

f:id:JA8XOH:20160101214703j:plain

何故わざわざ元旦に、と思われるかもしれないが、極上爆音上映を都内唯一実施しているこの立川シネマシティにおいて、昨年末から新年にかけて、この日しか空席が無かったからなのである。

この映画を最初に観たのは、新宿バルト9であって、このときも、音響はなかなか迫力のあるものであった。しかしながら、この記事

dengekionline.com

を読んで、「これは絶対に行かねば」と思った次第である。

館内に入り、スクリーンの方に目をやると、まずスクリーンの両側にスピーカユニットが1基ずつ、スクリーンの中央下にサブウーファユニットが1基、設置されているのが分かる。サブウーファは、同館の解説によると、Meyer社の1100-LFCという製品を2台、使用しているとのこと。46cmスピーカ4発か。

スクリーン両側のスピーカユニットについては、ちょっと分からない。大きさから推測するに、同社のMILO-120とかかな、と思うけれど、あくまで推測である。サラウンド用のスピーカは、確認していない。

何れにせよ、スピーカシステムは、正にコンサートホールで使用するそれである。超映画館級というところか。

で、実際の音響だが、…うむ、腹に来る。

そして、確かに大音響なのだが、聴いていて辛くない。高域から音として感じられる限界の超低音まで満遍なく再生されている感じだが、耳に優しい。スピーカユニット全体のレンジが広いので、余裕を持って再生できているということであろうか。歪成分が圧倒的に少ない印象。

カール自走臼砲の砲撃による「ずどん!」という着弾音では館内の空気が震え、また、各戦車のロードノイズによる音にならない超低音が足裏から伝わってきて、臨場感もたっぷりである。

後半の見せ場の一つである、ウサギさんチームの機転により観覧車が暴走するシーンで、観覧車がM3の砲撃により軸から外れて転がり始めるシーンなど、観覧車のフレームが軋む音、大小の破片が落下する音、ゴンドラが地面に叩き付けられる「ごわん」という音などが渾然一体と、かつ、それぞれの音がしっかり分離して再生され、その迫力たるや恐怖を覚えるほどであった。まぁ「恐怖」は脚色だが。

そんなわけで、本日は、立川まで出向いて極上爆音上映を鑑賞しに行ってきた甲斐が、十分すぎるくらいあったわけである。そして、一度この極上爆音上映を体験してしまうと、これから映画館で他の映画を観る際に物足りなさを感じてしまうのではないかと、心配したりもするのである。

惜しむらくは、上記の記事の中で「戦車内の会話シーンは、戦車ごとに全て反響を変えている」と述べられているが、私にはちょっと認識できなかった。まだまだ耳の鍛錬が足りないということか。もう1回観れば、戦車ごとの反響の違いが分かるかも。

-------------

以下、余談。

上記した観覧車のフレームが暴走するシーンは、映画「1941」中のシーンのパロディらしいのだが、私は不勉強にしてこの映画を観ていない。

しかしながら、このシーンを観て、妙な既視感を感じたことも事実。何か、ずっと以前に観た、手描きセルの時代のアニメに、こんなシーンがあったな、と。

で、思い出したのが、「うる星やつら」TVシリーズ第138話「魔境スペシャル!面堂邸の財宝を探せ!!」。

こんなシーンである。

f:id:JA8XOH:20160101234407j:plain

観覧車のフレームが軸から外れて地面を転がり始めるまでのシーンが、フレームの鉄骨の1本に至るまで動画で描き込まれていて、当時、大変に驚いた記憶がある。

余談その2。

そう言われてみると、CV33がジェットコースターの軌道を疾走するシーンも、「うる星やつら」のこの回に似たシーンがあったり。

f:id:JA8XOH:20160101234418j:plain

あと、これとか。

f:id:JA8XOH:20160101234256j:plain

単なる偶然か、それとも、これらのシーンも映画「1941」にあったのかな?

 

 

 

 

PD20 ガールズ&パンツァー IV号戦車D型改 (H型仕様)エンディングVer.

PD20 ガールズ&パンツァー IV号戦車D型改 (H型仕様)エンディングVer.

 

 

間取りと寝心地と本能のようなもの

少し前に、こんな記事

渋谷で150㎡のワンルーム “one and only” な夢の家【cowcamoマガジン】

を見て、すごいなー、と思うと同時に、自分が今の部屋に引っ越してきてからのことを思い出した。

今済んでいる部屋は、元々6畳間×2の2DKだった部屋を、2つの6畳間をぶち抜いて1つの12畳間にした1DKなのである。

1人で暮らすには十二分な大きさで、余計な仕切りが無いのがいい。

で、当初、ベッドを部屋の短辺に沿って配置していた。こんなふうに。因みに、寝姿は、頭が図の上方向、足が下方向である。

f:id:JA8XOH:20151223031625p:plain

もちろん他にも家具はあるが、とりあえず今は省略。

ベッドに寝て、ちょっと首をひねると、向こうの方に本棚が見える。

当時、ベッドで寝ると、とにかく悪夢を見る。どんな悪夢だったかは覚えていないけれど、起きた瞬間は悪夢を見ていたことは分かり、そのため、起きたときの気分は連日、最悪であった。

自然、ベッドではなくソファ(本棚側に、下辺に沿って置いてある)に寝るようになった。ソファに寝たときは、特に悪夢も見ずに快眠できた。

で、しばらく経って、部屋に新しい家具が入り、ベッドの位置を変える必要が出てきた。で、下のように、ベッドの向きを変え、部屋の長辺に沿って置くようにした。この場合、頭は左側、足は右側になる。

f:id:JA8XOH:20151223034625p:plain

するとどうだ。悪夢をピタリと見なくなり、安眠の日々。

そこで、思いついたのは、これは、ヒトの防衛本能、危機感知能力に関係あるのではないか、ということ。

つまり、上の図の、ベッドが部屋の短辺側に配置されたレイアウトの場合、寝姿における身体の半身側、自分の場合左半身側だが、の空間がとても広くなる(実際に寝てみると、反対側の壁は、途中に障壁物がないせいもあって、結構遠く感じる)。

これが、「危険である」と本能的に認識しているのではないかと。

つまり、左半身側が無防備になるので危険、このまま寝てはいけない、と、本能的に感じているのではないかと思うのだ。

下の図の状態では、寝姿における半身側、この場合も左半身側、の空間は、上の図の場合に比べてかなり狭い。実際には、ベッドと窓との間に机などの障壁物があり、けっこう密集感がある。

この下の図のレイアウトでは、身体の右半身側は壁、左半身側は障害物となり、無防備状態ではないと本能は認識するのではなかろうか。

なお、足元方向は、心臓部分や頭部までの距離があるので、多少無防備でも問題ないと判断されていると思われる。

以上述べたような本能的な働きは、太古の、それこそ原始時代の人類の記憶に起因するものではなかろうか。ヒトの本能は、案外、原初の記憶を引きずっているのかも。ま、これは私だけのことかも知れないが。

 

間取りの手帖

間取りの手帖

 

 

 

 

アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界

アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界

 

 

ガールズ&パンツァー劇場版、やっと観れた(多少ネタバレあり)

ガールズ&パンツァー劇場版、公開2週間目にしてやっと観ることができた。

新宿バルト9、21:35からの回。館内、人はまばら。公開2週間目、平日の夜だとこんなものかな。

ともあれ、見終わった直後の感想は、「兎にも角にも、爽快、痛快な映画であった」ということ。

映画は、大まかには前半、中盤、後半の3部構成で、前半と後半がそれぞれ試合。

前半は、エキシビションマッチということで、大洗女子学園+知波単学園の混成チームと、聖グロリアーナ女学院プラウダ高校の混成チームとの対戦。映画館の大画面、大音響と相まって、これはこれで中々迫力があったのだが。

後半を観てぶっ飛んだ。

戦車が空を飛び、水面で三段切りをし、あまつさえ、ジェットコースターの軌道を滑走する!…もうね、何度、声を上げて笑い出しそうになったことか。そのうちBD化されたら買って観るだろうけど、そのときはゲラゲラ笑うだろうなきっと。それはとても幸せな時間なのだ。

まるでハリウッドのSFアクションものか、はたまたマッドマックスか。というか、後半の戦車が飛び交うwシーンを見てマッドマックスを思い浮かべた人は多いと思う。

当然、「戦車が空を飛ぶかーッ!」とか、「水面三段切りをするかーッ!」とか突っ込みたくて仕方ない人もいるだろう。しかし、それを言ってしまったら、「戦車道」や「学園艦」など、作品の前提となる世界観がすでにアレなので、「これはこういうものなのだ、楽しんだもの勝ち!」とするのが正解。

戦車が飛び交うようなシーンは、昔のアニメなどでもあっただろうけど、本作のような高精度のCGで、リアルな大音響を伴ってそれを表現されると、やはり圧巻なのである。これが技術の発達というやつなのである。

…と、戦闘シーンばかりに注目してしまったが、中盤の生徒会長がいろいろ駆けまわるシーンというのも、結構見応えがあったり。生徒会長、なかなかにしたたかであります。

というわけで、見に行った甲斐は、十分すぎるくらい、ありました。

ちなみに、来場特典のミニ色紙はダージリンとケイでした。これは第1週目の特典だけど、まだ残ってたんだな。意外と動員は少なかったか??

余談だが、生徒会長のCVの福圓さん、ストライクウィッチーズの宮藤を始めとして結構活躍され、声質もほんの少しハスキーがかったいい声していて、演技もかなりなものだと思うのだが、余り話題にならない。なぜなのだろう。

 

ガールズ&パンツァー 秋山優花里 完成品フィギュア
 

 

 

 

 

ゴッホ「星月夜」を観ていて思ったのだが

過去記事にも書いたが、私は絵画を観るのが好きで、もちろんゴッホ(Vincent Willem van Gogh)の作品もとても好きだ。ゴッホの数ある作品の中でも、とりわけ、「星月夜(De sterrennacht)」が特にお気に入りである。

f:id:JA8XOH:20151202022009j:plain

この狂おしい感じがたまらなく、私の部屋にも、原寸よりも少々小さめのサイズのアートポスターが飾ってあったりする。妙に落ち着くんだよね、この絵を見ていると。

で、最近気付いたのだが、この絵って、人、というかゾンビとか魔物に近いが、顔が隠されてないか?…おそらく、3つの点が集まった図形を人の顔と判断してしまうシミュラクラ現象というやつだとは思うが。

具体的にはこうだ。

f:id:JA8XOH:20151202022010j:plain

絵の中央に配置される2つの「ぐるぐる」が両目、その下の教会らしき建物の尖塔を除いた部分が口、両目の間の「ぐるぐる」が額または前髪、向かって左目の左の糸杉の右の縁が顔の一方の輪郭。鼻は少々惜しいが教会らしき建物の尖塔。

もちろん、気のせいだとは思うけれど、一度そう見えてしまうと、その呪縛からはなかなか離れられないのだな、これが。…常に見られている感覚も、悪くない。

 

 

 

1000ピース ジグソーパズル 星月夜 マイクロピース (26x38cm)

1000ピース ジグソーパズル 星月夜 マイクロピース (26x38cm)

 

 

 

人生において失敗したなと思った2つのこと

いや勿論、2つどころではないですが、今までの人生での失敗は。

そんな数多くの失敗の中から、特に、現在の仕事などに直結する失敗といえば、

  1. 大学の専攻として物理科を選んでしまったこと。
  2. C言語を真面目に勉強しなかったこと。

この2つに尽きる。

 

まず「1.物理科を選択してしまった」件。

私は、割と子供の頃から電気なものが好きで、マイキット電子ブロックを弄り倒し、初歩のラジオとかその手の雑誌を読み倒し、使い途もないような回路を自作したり、アマチュア無線の免許を取得したりもした。

そんな中、高校の頃、ブルーバックスという新書のシリーズの相対性理論を扱った本(多分「相対性理論の世界―はじめて学ぶ人のために 」だと思われる)にハマってしまい、物理を重点的に勉強し始める。ここで、今はどうか知らんが、当時の高校物理は、あるコツを掴んてしまえば割と簡単に高得点を取得できた。そんなわけで、「自分は物理が得意」と勘違いしてしまった。ここが罠。

大学の入試も、共通一次試験(今でいうセンター試験?)でそこそこ高得点を取れてしまったことと、「自分は物理が得意なんだから、当然、物理科だろう」ということで物理科を選択(電気工学科よりも物理科の方が若干、共通一次試験の平均得点が高かった)、そして合格してしまう。

大学の物理は、それまでの生ぬるい受験物理とは大違いで、数学が基礎になる。つまり、物理を表現するには数式が必要であり、数学の能力が必要なのである。高校数学くらいなら何とかなっていたが、電磁気学の講義で、黒板3枚分に亘って次々と数式を書きまくられ、完全に萎えた。根性無かったなぁ…

以降、何とかして大学を卒業して就職するわけだが、そこでも物理科が災い(?)して材料系に。もっとも、電気の実績が無いのに電気系に行けるはずもなかったが。

仕事は、最初の3年くらいは、目新しさもあって一生懸命であったが、やはり興味を持つことができず、5年ほどで退職。その後、理系と文系の中間やや理系寄りくらいの職に就き、現在に至る。

いま思えば、入試学科を決める際に、何故もっと真剣に考えなかったのか、悔やまれる。共通一次試験でちょっと良い点取ったからって浮かれずに、電気工学科を受けるべきであった。いまさら遅いが。

 

次に「2.C言語を真面目に勉強しなかった」件。

私が学生~就職したてのころは、PCは、8ビット機から16ビット機への移行期で、学生時代はほぼ8ビット機、言語はBasic、気の利いた人はアセンブラマシン語を使っていた。私が所属していたゼミには、当時高価だった16ビット機(PC9801Uだったか)が導入されていた。

会社員になってからは、16ビットマシン、NECの98シリーズが主流となり、仕事用のちょっとしたプログラムは、いわゆるN88Basicで組まれていた。私は、N88Basicと、実験室に配備されていたHP製のコンピュータに付属のHP Basicという構造化Basicとを使ったりして、その後、Quick Basicに移行。自分のいた部署では、他に、FortranPascalなどが使われていたようだ。

この時期、会社で、C言語講座が開かれて、私の所属する部署でも、私を含め何人かが参加した。当時は、確かC+とかC++とか無くて、ツールBorlandのTurbo Cだったと思った。

講座は、いわゆる"Hello World"から始まって、何かのソートプログラムを組むところまで、講座終了時にツールは回収。

コードを書いて動かすところまでは、どうということ無くこなせたけれど、当時はC言語を使う意味がよく分かっていなかった。講座でもそういった説明は、余り無かったと思う。なので、ツールも回収されてしまったし、開発環境が手元に無くなった時点で、C言語からは離れた。この時点の自分(今もそうかもしれないが)には先見の明が無かったのだな。

 その後、Visual Basicなどを入手するも、オブジェクト指向プログラミングがよく理解できずに、ちょっといじって放置、C++は個人が一から始めるには敷居が高すぎて戦う前に負ける。

…なんだかこうして振り返ると、ダメダメですなw

そうそう、何でC言語を真面目に勉強しなかったことを悔やむかというと、私には、最近の言語(Java, JavaScript, PHP, etc...)の記法がC言語の文法をベースにしているように見え、C言語の文法を知らずにこれらの解説書を読んでも、前提となるところが分かっていないため、先に進めないというのがある。

これだけIT系の記事が氾濫していて、自分がそれに対して入り口にすら立っていないというのは、つまらないではないかと。まぁ、記事に書かれているような内容は、それなりに高いスキルが必要なことは明白で、例え入り口に立てたとしても、そこから到達するのは至難であろうことは容易に想像がつきますが。

でも、先の進路の話とは違って、プログラミング言語の習得は、今からでも可能なわけで。

面白そうなサイトを見つけた。これはいいものなのだろうか?

 

…とまぁ、個人の愚痴話でした。読んでくれた人、お疲れ様でした&ありがとうございました。

 

復刻新装版 学研電子ブロック EX-150

復刻新装版 学研電子ブロック EX-150

 

 

 

大人の科学シリーズ マイキット150復刻版

大人の科学シリーズ マイキット150復刻版

 

 

 

艦これ離れ

横須賀鎮守府提督、艦これ歴かれこれ2年と数ヶ月。

…なのだが、ここのところ、正確には、2015年夏イベントあたりから、艦これをプレイしていないのである。

理由は簡単、夏イベントについていけなかったからである。

それでも、最初の海域E1(だったかな?)は流石に攻略できたが、E2以降は、連合艦隊とか時間掛かりすぎてギブ状態。春イベントもそうだった、いや、今までのイベントは、E2までが関の山。

しかもそれぞれ1回の攻略のみなので、報酬艦も出ず、ネットの書き込みでよく見かけるように何10回、何100回と周回するだけの時間もないし。

そもそも、艦これを始めようとしたキッカケは、寝る前の30分~1時間くらいに、一杯やりながらできそうだ、というのがあったわけで。

確かに最初のうちは、未攻略海域や未収集の艦娘も多く、通常海域やルーチンの建造などで、1時間未満のプレイ時間でもそこそこ楽しめた。

ところが、通常海域やルーチン建造で出そうな艦娘がほぼ出揃うと、そこから先は、イベントでの取得か、大型建造で何とかするしかないわけで、もうアカン。

当初は、五十鈴(現在Lv.97)とケッコンカッコカリするまで、と思ってたけれど、ここから先の道程が長すぎるので、どうしたものかと。

まぁ、アカウント削除するほどのことでもないので、しばらく放置、ということになるのだろうけど、再開したら、システム更新とかも相まって、まるで別ゲームのようになってたりするのだろうな。

 

晩酌セット 冷酒 G538-M66

晩酌セット 冷酒 G538-M66

 

 

「響け♪ユーフォニアム」第11話~おかえりオーディション

「響け♪ユーフォニアム」第11話~おかえりオーディション、素晴らしい回だった。

そして感動した。

「音」そのものがここまで重要なアニメは、未だかつて存在しなかった。
というか、ここまで「音」と正面から向き合ったアニメは、過去にはなかったと思う。

第11回「おかえりオーディション」、クライマックスは、何と言っても香織と麗奈のソロパートを賭けたオーディション場面。

香織は、ソロパートを確実に演奏する。当然のことながらミスはない。しかし凡庸。おそらく身内だろう、いくらかの拍手。
続いて麗奈。実に表情豊かに演奏し、香織との力量の差は歴然としている。観客である部員たちも、思わずはっとした表情で麗奈の演奏に聴き入る。複数の部員の目配せ、黄前、加藤によるわずかばかりの拍手。
本来なら、拍手の数でソロパートを誰が演奏するかを決めるはずで、そのルールに従えば、香織がソロパートを演奏することになる。
しかし、滝は、組織票を見透かしており、香織に「吹きますか?」と確認する。
麗奈の演奏を目の当たりにして、実力の差を認識させられた香織は、「吹けません」と答える。
滝は、麗奈をソロパート演奏者に任命する。麗奈「私がソロパートを吹きます」。

この一連の流れの中で、重要なのが、香織と麗奈の演奏。
慎重を期してか、はたまたこれが限界なのか凡庸な演奏に終始する香織に対し、伸び伸びと力強く、表情豊かに演奏する麗奈。
この2人の演奏の差を、この作品では実際の演奏を用いて表現している。ある意味直球勝負ではある。
もちろん、香織と麗奈の、演奏直前の口の動き、声にならない声、演奏中の表情、観客の反応、全て総合しての表現ではあるが、実際の演奏の音を用いることで、香織と麗奈との力量の差に対する説得力が数倍、いや、数百倍にも増している。

このような表現は、アニメ映像作成上の高度な技術があって、初めて成し得るものであることは、間違いないと思う。
単に音を聴かせるのではなく、人間が実際に演奏しているように見せるには、演奏と映像との完璧な同期が必要となるであろう。顔の各部の動き、指の動き、楽器の動き、顔以外の身体の動き、これらと音とが完全に同期していないと、嘘の演奏になってしまう。
京アニは、その技術によって、演奏の音そのものを見事に「アニメ映像」に取り込んで、この最高の表現を我々に提供してくれた。

ここまで音を使いこなしたアニメを、私は他に知らない。
…いや、一つだけあるな、「トムとジェリーピアノ・コンサート」。1947年のアカデミー賞受賞作品である。ま、これは一応、劇場公開作品であるし、時間は8分弱と短いが、制作期間や予算もあっただろうから、除外していいかと。

この音を使った演出といい、青春期の繊細な人間関係の表現といい、「響け♪ユーフォニアム」は、現時点での京アニの最高傑作であろうと思う。