「ど根性ガエルの娘]の件、雑感
Twitter界隈などで話題になった「ど根性ガエルの娘」について、まとめ記事などでの推奨(?)に従い、第15話を読み、第1話を読み、そして、田中圭一氏の「ペンと箸」(これはKindleにて購入)の吉沢やすみ回を改めて読んでみた。
「ど根性ガエルの娘」は、極めて大雑把に要約すると、崩壊家庭もので、吉沢やすみ氏の長女の大月悠祐子女史の視点で描かれている。一方、「ペンと箸」の件の回は、吉沢やすみ氏の長男、大月女史の弟である康宏氏の視点で描かれている。「ペンと箸」の方では、姉のことについては、一言しか触れられておらず、姿は描かれていない。「家族で賑やかに食べる」焼肉の行でも、姉の姿は描かれていない。
そこで思ったのは、この件で田中圭一氏も相当のリスクを背負ったな、と。
「ペンと箸」は、漫画界の大御所のご子息に取材を行い、親である漫画家さんとの間の話を、食の話題に絡めて描写するというもので、どの話もいい話的に纏められている。けれど、今回の件で、内容にかなりの欺瞞が含まれている可能性が明らかになってしまった。
つまり、「ペンと箸」の吉沢やすみ回が欺瞞であると明らかになってしまったため、他の回も、本当に額面通り信じていいのか、いい話として納得して読んでいていいのか、分からなくなってしまった。こうなってくると、一種のドキュメンタリとしての役割もあったはずの「ペンと箸」の価値も、あやふやなものとなってくる。
「ペンと箸」は、そういった、作家と家族との間のギスギスした関係を描くものではないと思うし、田中圭一氏が吉沢家の事情をどこまで知っているかも分からない。仮に知っているとしても、「ペンと箸」は、いい話的にまとめる必要があっただろうことは、十分に理解できる。
田中圭一氏は、図らずもババを引いてしまったのかもしれない。