私は何も考えない

人生詰んでるオヤジが、どうでもいいこと、いい加減なこと、つまらないこと、くだらないこと…を書き連ねるブログです。

「神のみぞ知るセカイ」考

いや「考」というほど大したものではないのだが、兎にも角にも、6年に渡り少年サンデー誌上で連載された「神のみぞ知るセカイ」は、少年サンデー2014年第21号にて完結した。コミック巻数にて26巻になるらしい。

私としては、20巻台というのは、この規模の作品であれば適当なボリュームであると思う。人気があるからといってだらだらと続けるような事態にならなくて、良かった。

思い入れのある作品なので、寂しくないかといえば勿論寂しいが。

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最終回のFLAG268「未来への扉」は、最大の見所は、やはり桂馬のドクロウとの再開、そして別れであろう。

現代の世界での、ドクロウとしての二階堂との再開。

見た目は二階堂だが、中身は10年前のドクロウそのものだ。ひとつひとつの仕草、セリフ、全てが二階堂としての仮面を捨て、あのときのドクロウが戻ってきている。

桂馬への想いを込めた本音。

そして、「ありがと…お兄ちゃん」と振り向くドクロウの笑顔。

この笑顔が見たかった。

…しかし、このときのドクロウの心境はどうだろうか。

ドクロウは桂馬と一緒に居たかったに違いない。しかし、立場上、それはできない。

…立場?ドクロウは、どこへ帰るというのか?

新地獄では、リミュエルが面倒を見てくれるだろうけど…ドクロウは、この後何百年もの間、桂馬のことを想いながら生きていくことになるのだろうか。ドクロウは、新地獄を守れたことで幸せだったのだろうか。

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結局、桂馬のいう「全てのキャラクタがハッピーエンドを迎える」というのは、どういうことだったのか。

女神の宿主達、歩美、かのん、結、栞、月夜、天理、は、そして桂馬は。

かのんは芸能活動を復活、今まで友達などいなかった月夜と栞は、似たもの同士?で仲良くなっている。

結は桂馬を諦めていないし、歩美は…どうだろう?

天理は挫折しかけるも、ディアナが応援している。

桂馬は…ちひろに告白し、振られ、そして近づこうとしている。

エルシィは、桂馬と本当の家族になり、ハクアは新地獄を立て直そうと心機一転。

一番報われたのは、エルシィかな。

関わった全てのキャラクタが新しい未来を得る、それが「全てのキャラクタがハッピーエンドを迎える」ことなのだろうと思う。

…ドクロウを除いて…

こうして物語はエンディングを迎える。

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しかしだな。自分的には、なんだかすっきりしないのである。

勿論、伏線は必ずしもすべて回収される必要はないわけで、本筋に直接影響がなければ、謎を謎のまま残しても構わないとは思う。

(1)「デメテル」とは結局なんだったのか。

思わせぶりに名前が出てきたが、その後、作中では一切触れられていない。

そして、女神たちの舞島市との関係、舞島高校の紋章の意味。

(2)前にも書いたが、結局のところ「桂馬」とは何者だったのか。

単に無類のギャルゲ好きで天才的な頭脳の持ち主、だけではないだろう、と思うのだ。

ホネホネだったころのドクロウは、何故、エルシィのバディとして桂馬を指定したか。

結果を知っていたから。

でもその結果は、自分が分身を10年前に派遣したことで生まれている。要するに因果関係がループしている。

これは、6歳の桂馬と16歳の桂馬にもそのまま当てはまる。

この、因果関係に関するループは、作中ではほぼ完全にスルーされているように思える。

特に(2)は、物語の世界観に深く関わると思われるのと、ストーリーを合理的に説明するために、何らかの説明が欲しかった。

あくまで個人的な意見だが、私的には、過去編を延々とやるよりも、これらの説明にページを費やして欲しかった。

過去編の香織のストーリーは、天理に桂馬の手紙を手渡すという重要な場面があったわけだが、それにしても冗長ぎみで、もう少しやりようがあったのではないかと思う。

ともあれ、全体としてとても素晴らしい作品だったし、コミックスも最終巻を入手したらまた読み返してみることだろう。

若木民喜先生の次回作を期待するのである。