SFマンガ勝手に10選~綾茂直人(仮名)編
SF作品の10選を評うことが流行っているみたいなので、自分もやってみる。
ただし、私は評論家とか、そういった文章を書き慣れているわけでもないので、やはり自分の好きな作品を順に並べただけになってしまうのである。
本当ならここで、SFなるものの定義をしておくべきなのであろうが、これは私には少々荷が重いので、私自身が「これはSFだ!」と直感的に感じた作品がすなわちSFであるとする。大変ご都合な定義である。
以下、思いついた順に、列挙してみようと思う。
なお、番号は便宜的なものであり、順位などを示すものではない。
1.うる星やつら(作:高橋留美子)
これを語らずして何がSFか、という感じである。科学的な考証は殆ど無視、勢いで突っ走る作品ではあるが、これは、スラップスティックSFマンガの傑作であると私は思う。こんな作品は、今後2度と現れないのではないか。
2.マップス(作:長谷川裕一)
和製スペース・オペラの傑作である。
伝承族とは一体何者なのか?銀河障壁とは?伝承族に対抗するため開かれた円卓会議に集う異形の者達、等々、今読み返してもワクワクの連続である。
3.宇宙家族カールビンソン(作:あさりよしとお)
あさり氏の作品としては、「ワッハマン」とこの作品とのどちらを選ぶかで、少々迷った。
この宇宙家族カールビンソンは、「非日常系日常」を描いたSFコメディ。随所に見え隠れする侘び寂びの感覚がいい味出している。
パロディネタも楽しい。
4.究極超人あ~る(作:ゆうきまさみ)
マッドサイエンティスト、世界征服、ロボット、異時空や時間軸、走っても胸が揺れない大戸島さんごなど、これがSFでなくて何であろう。
光画部よ永遠あれ!
5.童夢(作:大友克洋)
言わずと知れた、超能力系SFマンガの傑作。
しかし何と言ってもこの作品の最大の見所は、偏執的なまでの極度に緻密な画像にあるというのは、誰しも認めるであろう。
おそらくこの作品が史上初であろう、「人が飛ばされてコンクリートの壁にめり込む」表現は、以後、他の作家の様々な作品に用いられることになる。
6.That's イズミコ(作:大野安之)
ヒロインの極楽院イズミコは、出生不明、年齢不詳、IQ測定限界以上(確か)、時空を縦横に行き来する。
シリアスあり、ギャグあり、3等身キャラありで、作品自体は実験的要素も大きいが、作品全体としてSFマインドに溢れており、特にシリアスパートの「バイ・ポーラー」は、珠玉の出来であると思う。
現在、復刊ドットコムで復刊を果たしている。
7.外天楼(作:石黒正数)
一見、探偵物の短篇集と思ってしまうが、読み進めていくうちに、各話がそれぞれ関連しており、衝撃的な、そしてとても悲しいラストに導くSF作品であることに気づく。
8.風の谷のナウシカ(作:宮崎駿)
これも、今さら私が語るまでもない、人類の未来、そして人類と自然との関わりを描いた傑作である。
オリジナルは全7巻だが、映画になったのは、2巻目の途中まで、となっている。
9.吾妻ひでおの各作品
吾妻ひでおの各作品は、どこをどう切ってもSFである。だから、どの作品を紹介してもいいのだが、私の大好きな「るなてっく」が収録されている「メチル・メタフィジーク」を含む作品集を紹介しておく。
10.(未定)
…と、10選としておきながら、10作目がなかなか決まらず。
士郎正宗氏の「攻殻機動隊」を挙げようとも考えたが、私的には映画版の方が好きなので、ここでは除外。ゆうきまさみ氏の「機動警察パトレイバー」なども大好きな作品だが、SFとしてのインパクトとは違うように思う。最近の作品としては、若木民喜氏の「神のみぞ知るセカイ」なんかがSFしてるように思うが、これはいろいろ決着が着くまで評価は保留ということで。